リバイブ・システム株式会社

パチンコ台のリアルタイム・リセット
リバイブ技術の創立の経緯
パチンコ台のリアルタイム・リセット

 パチンコ機は止まってはいけない

 パチンコの起源は英国のウォール・ゲームと言われています。壁に取り付けた板の間をボールと通すゲームでした。
 日本に入ってきたのは昭和の初期で、子供用の玩具でしたが、第2次大戦後、乏しい娯楽の一つとして大人用に変化してギャンブル機となり、景品は布地だったりしたと聞いています。

 当初は何も規制が無かったので、様々なパチンコ台が作られ、作るメーカーも500社以上有ったとの事です。最盛期は、製造メーカーは約500社、昭和27年で全国のパチンコ台は、700万台とも800万台とも言われていますが正確な統計は有りません。

この頃は全て機械式のパチンコ台で、チューリップといった役物は有りませんでしたが、連射機、1分間に球を300〜400個、機関銃の様に球を打ち出すパチンコ台が大人気になりました。

所が人気の余り、破産する人は続出し、暴力事件も重なって警察の介入を招きました。
(当時は規制する法律は有りませんでした)
 
 これが機会となって昭和29年にパチンコ台が遊技機(遊戯では有りません)として風俗営業法に追加されて正式に警察(公安)の管理の下に置かれました。

 昭和35年に、パチンコ台のメーカーの団体、日本遊技機工業組合(日工組)が結成され、パチンコに関連する警察庁との窓口となって自主規制を行い、新技術の導入の際の許可、新sな基準について尽力され、

ギャンブル依存症の対策や、パチンコ台のリサイクルによる環境対策を行っています。
又、一時、特許を日工組内で共同管理する特連により新規参入を制限した事もありました(独占禁止法違反として摘発され、特連は解散しました。

 パチンコ(パチス台、ジャン球、アレンジボールも含む)機は賭博としない為に、パチンコ店は遊技台を設置する前に警察庁の指定機関による検査に合格しなければなりません。実際はパチンコ台のメーカーが検定を受けて合格してから製造販売を行います。

そしてパチンコ店に設置すると管轄の警察署の公安(現在の生活安全課)の検査を受けて、新装開店となります。

 さて1980年代の始めに、当時、群馬県の桐生市に有った、パチンコ台の3大メーカー、三共、平和、西陣/ソフィア、の内、三共がスロットマシンをパチンコ台に取り入れたパチンコ台、フィーバーを作り、許可を得て、全国に販売すると人気が出て、所謂、フィーバー・ブームが始まりました。

 当然、他のパチンコ台のメーカーも競合するパチンコ台を開発して参入します。私がFAEとして勤めていた半導体商社は、先の三社の内、平和、とビジネスがありました。平和のフィーバー機は、メタルゲートCMOSのロジックICがメインで、A4位のサイズの基板に42個ものICが搭載されていました。問題は不良基板が多々発生する事と、多種のICを入手できない事でした。

 そこで日工組が警察庁に陳情して、マイコンの使用を認めて貰いました。(さあ私の出番です)

 平和の開発技術者達と協力して試作したフィーバー機の試験台をパチンコ店に設置してみると、平均、6時間に1回、マイコンが暴走します。このホールの店長、ほぼヤクザ、に、「お前の給料で補償するか」と脅かされました。

 パチンコ台をマイコン化するとパチンコ球を運ぶベルト・コンベア、他からの静電気放電(ESD)がマイコン基板に飛び込んで来て、マイコンが暴走してパチンコ台は止まりました。これが起きると遊技客と店の間でトラブルがおきます。

 このパチンコ台のマイコンが暴走してパチンコ台が停止する現象は、「デジ切れ」と言われました。

 この「デジ切れ」の対策として、ESD吸収素子の追加、電源フィルタの強化、他の常識的なノイズ対策を行いましたが効果は有りませんでした。

 これにはノイズが多い環境である事だけでなく、電子基板は両面板で無ければならない事といった(多層板は禁止)、パチンコ台に適用される風俗営業法上の規制もありました。

 困っていた所に、別の企業からマイコンの相談です。電源リセットを解除しても数ミリ秒後には先に進まなくなる。
マイコンICの不良ではないか?とのクレームでした。交換用のマイコンICを持って顧客の所に行き、基板を見せて貰い、回路図を見せて貰うと何かおかしい!会社に電話して、マイコンのデーターシートの或る部分を拡大コピーしてFAXで送って貰い、担当の技術者と確認します。

 送って貰ったデーターシートではリセットは、5番ピン、NMIは6番ピンですが、基板の回路図は、リセットが6番、NMIが5番になっています。逆です。

 当時のデーターブックは藁半紙のような紙質が良くなく、印刷がすれて、文字型が似ている、5,と6,を読み違えていたのです。これを逆にすると問題は解消しました。

 調べた結果、マイコンのNMI(拒否できない割込み)とリセットのピンが逆に接続されており、周期的に割込みを掛けるはずが、周期的にリセットが掛かっていました。これだと電源ONのリセットが外れても短時間の内に又リセットされるから見かけ上、マイコン(CPU)が途中で止まる様に見えます。
 当然、NMIとリセットのピンを入れ替えると何も問題は起きなくなりました。

 この企業からの帰り道、車の運転中に頭の中にランプが点きました。道路端に公衆電話ボックスを見つけると、コインの入れ口に100円玉を幾つか投入してアイキョー(現、平和)の担当技術者にアイデアを説明します。このアイデアに沿って回路を替えてソフトを修正して欲しいと依頼します。

 アイデアとは、リアルタイム制御のために、周期的に掛けている割込みを、パルスにしてリセットに掛ける、というものでした。リアルタイム割込みを、リアルタイム・リセット、とした訳です。

 そして会社に帰るのは止めて桐生へ向かいました。桐生のアイキョー(現、平和)の開発部に着くと、担当技術者が「上手くいきました!」と迎えてくれました。この嬉しさは忘れられません。

 止まったままにならない(デジ切れしない)パチンコ台の誕生です。

 当初のマイコン式パチンコ台では、1秒間に250回(4ミリ秒間隔)リセットして、
これに対応したソフトウェアを組んだ所、パチンコ台の「デジ切れ」は見かけ上、
無くなりました。

 パチンコ台のマイコンが暴走しても、数ミリ秒以内にCPUにリセットが掛かります。
 リセットした所で、マイコンが「暴走」している時にリセットしたのか、正常な状態から
リセットしたのかをソフトウェアで判定して、継続実行か、復旧実行かを判定する様にして
実現しています。 

 当初のマイコン式パチンコ台では、1秒間に250回(4ミリ秒間隔)リセットして、
これに対応したソフトウェアを組んだ所、パチンコ台の「デジ切れ」は見かけ上、
無くなりました。

 どうして、こんな事が可能なのでしょうか?
 それは、リセットしてもRAMにあるデータは変化しないからです。これは電源を切っても電池でRAMに電源を供給してRAMのデーターを保持し、電源が回復すれば継続実行が可能な電源バックアップ式のシステムと同じです。唯、このマイコン・パチンコ台の初期には電池バックアップは許されていません。

 しかし電源が入ったままであれば、リセットは時間、回数によらずRAMのデータを変える事は有りません。
 ですので、周期的にリセット信号を、定期的な割込みに替えても、RAMの内容は保たれています。

 ここから検査を重ね、ソフトウェアを改良しました。社内で放電ガンによる2万ボルトの放電でも、放電中は止まっていますが、放電を止めると何事もなかった如く動作します。

 これでデジ切れ無しのパチンコ台が慣性です。このパチンコ台は日本中に普及します。2年後には、約400万台と
言われていたパチンコ台の半数以上が、この「ブラボースペシャル」になりました。但し、各県警対応班がありますので、
プログラムの数は20数個になりました。

 これ以後、累積で6,000万台以上のパチンコ台、パチスロ台、他の遊技機が、この技術、リアルタイム・リセット方式で
作れらてきました。更に、今、遊技機は、止まってはならないと風俗営業法でも規制されています。

 このアイデアは簡単です。当時は、CPU、ROM、周辺回路と別のICでしたので、CPUのみに周期リセットを掛ける事が
できました。周期的にCPUだけにリセットを掛けて、リアルタイム割込みの割込みの代りにすれば、或る程度は実現できます。
友人の一人はFPGAでこれを実現して使っています。

 勿論、リアルタイム割込み用のソフトウェアでは上手く行きません。種々の工夫による変更、改良が必要です。
どの様にして暴走していたかを検出するか?暴走を検出したら回復させるためにはどうするか?回復させるために正常時に何をしておくべきか、等、様々な工夫が必要です。

 各県警の公安部が担当していた時代には、地域により規制が緩い所緩い所がありました。県警の要望によりパチンコのゲーム内容を変えたりもしていましたが、許可を得てから内容を変更する例が多々あったので保通協が統一して厳しい検査をする様になりました。

 これらの工夫を入れて、ブラボースペシャル当時、ソフトウェアを格納するROMのサイズの制限、2KBに納めるにはどうするか?暴走させる試験はどうするか、滅多にでない「大当たり」時の動作の検証をどうするか?追加で、様々な要求が出てきて、工夫に工夫を重ねました。

 この初代、リアルタイム・リセット採用パチンコ台は設置するが多く、ソフトウェアのサイズも小さかったので、許可を得ない不法改造ソフトウェアが多数でました。平和の開発会社で有った、(アイキョー(現、平和)の担当者は、多くの県警からの鑑定依頼があり、困らされていました。

 以上の暴走対策のプログラムの改良点は、売り物、です。興味があれば御問合せ下さい。