耐ノイズ試験
ノイズ耐性の試験は実際に高電圧パルスを与えて行うのが通例です。
但し、試験を行う際に高電圧のパルスを使いますので周囲に影響を与えない様にする配慮が必要な試験となりますし、
環境の指定がある試験もありますので難しい試験です。
更に高電圧パルスと言っても、静電気放電の場合と、雷の試験とでは大きく違います。
一般の室内で使用される電子機器であれば、静電気放電の試験で充分と考えられていますが、IoTやEdge機器は
屋外でセンサーとして使われる場合もありますので、個々の使用状況を鑑みて、どの程度のノイズ耐性とするかを
決めなければなりません。
更に、壊れなければよい、という設定と、動作を継続しなければならない場合とで試験条件は変わります。
公式のノイズ試験としては、静電気放電への耐性しけとして、IEC61000-4-2、JISC61000-4-2、があります。
この試験の詳細は、以下のノイズ研のサイトが詳しいです。
https://www.noiseken.co.jp/products/related/standard-information/6934/l
試験環境、方法、試験電圧、試験波形、他が詳細に決められています。
又、別の試験の規格として、CDM、MM(マシンモデル)、HBM(ヒューマンボディモデル)を定めているがあります。
これは、MIL-STD 883 method 3015(Co = 100pF、Rx = 1.5kohm)に準拠したものとなっています。
試験の結果として、性能、機能は試験前と同じである事を求めている例が通常です。但し、性能が劣化しても目的が
果されていれば良いという基準もあります。
更に、試験後、機能、性能が回復すれば良いとする事も可能です。
試験電圧は、接触試験の場合、2KV,4KV,6KV、8KV、スペシャル
気中放電の場合は、2KV,4KV,8KV,15KV、スペシャル、となっています。
通常、半導体の静電気耐圧(単体試験)は、2KVです。
いずれにしても、これらの試験条件は、最悪値試験、ではなく、一般の使用時の
大部分をカバーするという規格です。当然、雷の直雷は含まれません。
又、これらの試験では、機能、動作が正常化?、だけが判定基準なので、
中のマイコンが暴走していればNGと判定されます。
耐ノイズ試験を簡易に行うには、ピエゾ素子を用いたデバイスを使い、高電圧を作って機器に放電して試験するのが簡単です。
ピエゾ素子で作られたデバイスとしては、電子鍼、があります。ボタンを押すとバネでピエゾ素子を叩き高電圧パルスを
生成します。電子鍼にも大きさや製造社の違いで幾つかあります。
使い方は、電子鍼を機器の金属部分に充てて、ボタンを押して
高電圧パルスを与えて試験します。
電子基板の場合は、通常、接地パターンに当てて行います。
いずれにしても、機器や基板のあちこちに当てて試験し、
ノイズに弱い場所を探せます。
電子鍼の一例
マイコンの暴走は、ソフトウェアでのエミュレーションが可能です。GPIOを使い、押しボタンが押されたら暴走する、
タイマーを使って、遅れ時間を持たせて、暴走させる、といった方法で実際にCPUを暴走させて暴走対策が有効化?を
試験します。
この暴走させるソフトウェアは当社の商品に含まれています。この様なエミュレーション・ソフトを組み込んで使えば、
CPUの暴走から回復率も計測できます。